大阪船場祖母の味
2008・5・23
久々に極上の仕上がりの本にあった感じがします。献立の分類ごとに描かれている絵には温かみと優しさがあります。また料理の写真と下の料理の解説文がお互いの分をわきまえて、お互い支えあっているような気がします。写真に外枠をつけたことにより、写真が散漫にならぬようピシッと収まり、料理を際立たせている気がします。
今の料理の本はごちゃごちゃしており、お互いの自己主張が多すぎる見にくい本が多いです。これでもかと言うくらい、ぎゅうぎゅう中身を詰め込んだ本が多い中、この本のように余裕のある作り方の料理の本があっても良いと思います。
料理を見たとき祖母が良く作ってくれた料理が多く懐かしくなりました。こんにゃくのピリ辛煮、お揚げの甘煮、高野豆腐の旨煮、グリーンピースの卵とじ、だし巻き卵、若竹汁,水菜鍋、かやくご飯、ぜんざいなど。祖母は船場生まれで昭和14年に弘前に来ていますから、本に載っている料理は本当の昔からある関西の家庭料理でしょう。油揚げはお揚げさん、豆はお豆さんと言っていました。弘前に来たときは関西の食材がないので、大変だったようです。水菜(よくハリハリと言っていました)、ぶり、はまち、ゆりねなど。水菜鍋は水菜がなかったので、よくほうれん草を使っていました。若竹汁は澄まし汁仕立てで作るものと思っていたのですが、弘前ではたけのこの味噌汁と言って、たけのことわかめの味噌仕立てです。絶品はなんといってもだしまき卵です。これは母も叔母も作りません。と言うより作れないんです。普通の玉子焼きはどうしてもぱさぱさになり、おいしくないです。だしまき卵はやわらかくてフワーッとしてます。それをカンテキ(七輪)の上で火加減を見ながら作るんです。子供だったので何も感じることなく見ていましたが、今考えてみると火加減が大変なのに良く出来るなと感心します。
そんな祖母の味で慣れていたせいか、弘前の味には馴染めません。玉子焼き、赤飯(甘納豆を使う)、海苔巻き、茶碗蒸し、たっぷり砂糖を入れるので甘くて食べられません。最近はさすが甘みを抑えていますが。県外出身の人も甘納豆を使った赤飯だけは食べられないと言います。
どれも身近にある食材で作る料理ですが、このごろ作ってないな思う懐かしい料理ばかりです。日本人の体にあった体に優しい、外国風の料理も良いですが、体にあったおいしい料理を作りたい人にはぴったりの料理の本です。タイトルが「日本のおかず」ピッタリです。 それで早速だしまき卵を作ってみました。おいしかった。ただ本で書いてある分量だとなれない人は焼きにくいかもしれないと感じました。5CC位まで控えてもいいかもしれない。5CC以上控えるとぱさぱさになるかも。それとお揚げの甘煮、高野豆腐の旨煮、気が付けば祖母の作ってくれた運動会、遠足のお弁当になっていました。足りないのは蕗の煮付けだけ。今度また作ろう、蕗の煮付けも加えて。
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コメント
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こんばんわ。素敵な料理の本ですね。
本当になかなか使いやすい料理本を見つけるのはむずかしいです。
私も母の料理より、祖母の下町風の料理が好きでした。船場から弘前とは、また随分差がありますよね。きっと始めはとてもご苦労されたのでしょうね。
甘納豆入りのお赤飯とは、びっくりしました。地域によって色々な食べ物があるものですね。
昔の料理は限られた素材を、工夫と知恵でなんとか美味しく食べようという心意気のようなものが感じられますね。その精神がとても好きで、今日も「豆腐百珍」という本のご紹介をさせていただきました♪
(ちょっと時代が200年前で古過ぎですが)(^^;)
今は材料はふんだんにあるけれど、そしてさまざまな料理法があふれているけれど、主婦が自分の味としてずっと家族に伝えていく料理というのは少ないような気がします。自分への反省もこめて、昔からの伝統の味のようなものを大切にしたいな~と思うこの頃です。
投稿: おとめ | 2008年5月23日 (金) 22時19分