細雪
2008.3.4
「細雪」は小説の中で一番好きな作品。もう36年間飽きもせず折に触れ読んでいる。最初に読んだのが高校1年のときで、なかなか理解しがたいところもあったが、四姉妹の生き様が面白く一気に読んだ記憶がある。特に盛り上がる場面はない。ただ四姉妹の四女妙子がトラブルメーカーでハラハラさせられながらも(自立していく女性、しかし回りは理解しがたい行動に見えるらしい)、三女雪子のお見合いと未婚の妹たちに起こる事柄と四季折々の行事を絡ませた、家庭小説。長女鶴子はあまり登場しない、次女幸子の目を通して二人の妹が描かれている。だから雪子と、妙子の描き方は細かい。
没落した旧家の姉妹の物語と書いてある解説もあるが、私は当人たちはその事はあまり頭にはないような気がする。本来は本家にいるべき妹たちが分家の幸子の家にいて、本家を気にしながらも妹たちの行く末を心配して孤軍奮闘幸子に力点を置いて書かれたものだと解釈している。時代的には70年位前だが、決して古さは感じない。今だって妙子のように結婚する前に妊娠されたら騒動だ。私はこの作品に妙子と言う女性がいるから時代を超えて読み次がれていると感じる。もし妙子がいなければ一時代前の古い小説になっていたかも
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